電柱日報

日々の由無し事

『インド神話 マハーバ・ラタの神々』(村上勝彦)

おおよそ神話と名の付くものは、ギリシャ神話から北欧神話日本書紀、エジプト、ケルト、マヤ、インカにいたるまで基本的に好きな自分ではありますが、古代インド神話の神々は特に愛着があります。
ギリシャ神話にしても、至高神カップルからして「浮気性の夫」に「嫉妬深い妻」と人間臭い描写がされますが、インド神話の神様もベクトルが少々違いますが非常に親しみがもてます。
苦行がすべて、長く激しい苦行さえ積めば修羅/羅刹だろうが悪魔だろうが関係なく願い*1をかなえちゃう節操無しの創造神ブラフマーを筆頭に、バラモン(人間)が修行で自分より高みに至ろうとするのを妨害するために、天女にバラモンを誘惑させて堕落させようとするインドラ、世界一の美女の誕生に際し、気の無い振りをしつつも彼女を見たくて仕方がなくなり、彼女が歩くのにあわせて頭の左右と後ろにも顔を作ってしまったシヴァ等々。
なんとも愛嬌のあるキャラクターだと思いません?
というわけで、古代インドの一大叙事詩『マハーバ・ラタ』を中心に古代インドの神々の物語をまとめた一冊。
神話についての補則や、同じ物語についての複数の記述が比較などがあったりして、インド神話に詳しく無い人にもオススメ。

インド神話―マハーバーラタの神々 (ちくま学芸文庫)

インド神話―マハーバーラタの神々 (ちくま学芸文庫)

*1:大体が「神にも人にも動物にも殺されなくしてくれ」とかそんな無茶なの