電柱日報

日々の由無し事

『神は沈黙せず』(山本弘)

グループSNEの初期メンバーにしてディードリットの中の人
個人的には『サイバーナイト』のノベライズにおける科学考証が一番印象に残るラノベ作家。
最近では「と学会」会長として有名な山本弘の本格SF小説が文庫化されました。
これまた単行本が出た当時から興味は持っていたものの、ハードカバーを敬遠していたクチであります。
神は存在するのか、神の意思とは、な〜んて書くとオカルトっぽく見えてしまいますが、人工知能遺伝的アルゴリズムを絡め、驚くほどまっとうなSFに仕上がっています。
現実という認識が揺らぐ感覚はグレッグ・イーガンの諸作品に通じるものがありますが、イーガンほどドラスティックなアクロバットは見せませんので、SF読みの諸氏には少々物足りないかもしれません。(逆にハードSFを敬遠される向きでも読みやすいのではないでしょうか)
現代の日本(特にネット社会)の描写は非常に説得力があり、著者本人も相当苦労したんだなぁ、と妙な感想を持ったり持たなかったり。

神は沈黙せず〈上〉 (角川文庫)

神は沈黙せず〈上〉 (角川文庫)

神は沈黙せず〈下〉 (角川文庫)

神は沈黙せず〈下〉 (角川文庫)