電柱日報

日々の由無し事

『神無き世界の英雄伝』(鴨志田一)

大須で購入したスペオペラノベ
宇宙での艦隊戦に燃える自分的に帯買いした一冊でございます。
まぁ、言ってしまえば「新任少尉のラインハルトとコックのヤンがファティマに選ばれて即座に艦隊指令となり、手を取り合ってタイタニアの独立にむかってがんばる話」でございます。
「宇宙で有視界戦闘かよ」みたいな突っ込みに対して、対艦刀による白兵戦を基本戦術とするような技術的裏づけを与える設定とか、個人的に好きな要素は多いんですが、全般的に薄いと言うんでしょうか……。
英伝のような群像劇としてみるには登場人物が少ないですし、タイタニアみたいな戦争の舞台裏にうごめく権謀術数みたいな話も無く、「宇宙なのに艦隊は2次元展開かよ」という突込みに対して平面宇宙(ファーズ)という設定を細かに定義して「だって宇宙そのものが2次元だもの」と開き直った星界シリーズと比べると技術的な理論展開にも突っ込みどころが散見されます。
英伝的に言えば、同盟に対してフェザーン独立戦争を挑むような話なんですが、1巻の時点でヤンとラインハルトが協力してブルース・アッシュビーを倒し、早々に独立を勝ち取っちゃった上、直後に同盟が銀河帝国に滅ぼされちゃう急展開。
残る大物は帝国のルドルフ・フォン・ゴールデンバウムと、地球教に1人いるだけなんで、このまま行くと3巻で銀河を統一しちゃうんでは……、みたいな。
根本的な部分では非常に好みなタイプだけに惜しいというか、もったいないというか。
コレだけは他には無いという何か、みたいなモノが見えなかったのが残念です。

神無き世界の英雄伝 (電撃文庫)

神無き世界の英雄伝 (電撃文庫)