電柱日報

日々の由無し事

『蒼天航路 11巻』(王欣太/李学仁)

正史をベースに大胆な歴史解釈で独特の三国志ワールドを築いてきた本作、連載休止のため長いこと刊行がストップし、連載再開後もしばらくお預けを食ってい文庫版がようやく続刊されたようです。えらく長期間のブランクがありましたが、新装丁で既刊も再発刊などという事もなく10巻までと同じ装丁でちょと安心しました。
それまで横山光輝版をかじった程度だった私に『蒼天航路』を強く勧めたのは当時の付き合っていた彼女*1だったのですが、演義では悪役とされている曹操を中心に据え古代中国をダイナミックに描くこの作品は、既成の三国志という概念を超えたインパクトを与えてくれました。そのおかげもあってすっかり三国志世界にハマリ込み、三国志関連書籍を何種類も読み漁った現在でも、小説の北方謙三版『三国志』と並んでコミックの『蒼天航路』はフェイバリット作品としての地位が揺らいでいません。
しかしまぁ、実に良い所で中断していたもので、しばらく良い所なしだった劉備が遂に天下人として覚醒し、天下三分を掲げ歴史の流れがどんどん加速していく重要な契機になる巻になっています。
本誌連載は今年中に完結を迎えるようですが、最後まで目が離せない作品ですよ。

蒼天航路(11) (講談社漫画文庫)

蒼天航路(11) (講談社漫画文庫)

*1:蒼天版呂布に御執心でした