熊野散策記
というワケで、21日のシンポジウム終了後、紀伊勝浦まで特急で移動し、世界遺産の熊野古道を散策して来たという次第。
まぁ、実際には散策などという生易しい物ではなかったわけですが、中々に素晴らしい景観を堪能する事ができました。
丸一日かける余裕があれば、JR那智駅まで列車で移動し、那智駅から徒歩でぐるりと巡る事も可能ではあるようなのですが、今回は半日しか時間をとれないため、以下の様なルートを設定いたしました。
幸い紀伊勝浦駅と那智山方面へのバスが、JRの主要な特急の発着時刻に合わせて運行されているようで、今回の様なスケジュールの人間には非常にありがたかったです。
で、まず到着したのが「那智の大滝」。
一見するとさして大きな滝でもないように見えますが、落差100mを超えるというその瀑布を間近で視ると、単純な迫力とも違った何かがそこに或る様な気がしてきます。
「那智の大滝」から10分ほど急な石段を上ると、「熊野那智大社」「那智山青岸渡寺」にたどり着くわけですが、茅葺屋根の渋い佇まいを見せる「那智山青岸渡寺」と目にも鮮やかな朱色がまぶしい「熊野那智大社」が隣接して*1建っている様子は、中々面白いコントラストを見せてくれています。
ところで、この石段が結構険しくありまして、普段の運動不足が祟ってか、この時点ですでに汗だく。大きな荷物は駅のロッカーに預け、デジカメしかもって来ていないにも関わらずこの低鱈苦(当て字)……。まぁ、「那智大社」からの景観はその苦労に見合っただけのモノがあると思いますが。
ここまで来てしまえば後の行程は下りになりますので、足取りも軽くひなびた土産物屋の立ち並ぶ参道を通り、最後の見所「大門坂」の入り口へ。
本当に看板に従って大丈夫かと思うような昼尚薄暗い石段を下って行くと、さほど急ではないものの、山中を縫う様に延々と続く石段と、両サイドから覆いかぶさるように聳え立つ巨木*2に圧倒されてしまいます。
周囲に人が居ないと、このまま人の世ならぬ場所へ迷い込んでいきそうな錯覚に陥るほど。
私とは逆に大門坂を上っていくツアー客の行列が、徐々に小さくなっていく様子を眺めていると、「蟻の熊野詣」とはよく言ったものだなぁと妙な関心のしかたをしたりして。
「大門坂」の出口(上っていく場合は入り口)近くに「夫婦杉」という杉の巨木があるのですが、ふと見れば平安装束に身を包んで坂を上るカップルの姿が……。
自ら平安装束で当時の「蟻の熊野詣」を体験するのも乙なものかも知れませねぇ。
というわけで、非常に有意義な熊野散策でございました。
もっと体力をつけてまた詣でたいと思います。