電柱日報

日々の由無し事

『RigidChips』

かつて『パネキット』というPSソフトがありました。
基本的には、パネルやタイヤ、ジェットなどのパーツによって組み上げられたモデルを操作するという物でしたが、そのモデルの構造や操作法を自由に設計できる非常に自由度の高い内容でした。
また、製作したモデルは(多少簡略化されているとは言え)あくまで物理法則に準じた挙動を示すことから、高速走行する車両にエアロパーツをつけてダウンフォースを稼いだり、適切な推力源とその推力を揚力に変換する翼などがあれば空を飛ばすことも可能。名だたるパネラーの中には二足歩行の人型ロボを製作したツワモノも居たと聞きます。
単純なパーツの組み合わせで無限の可能性を引き出せる非常にクリエイティビティにあふれた稀有なソフトウェアでした。PS2の発売で全国のパネラーが、よりパワーアップした『パネキット』の登場を願いつつも現在までその願いは叶えられていません。
で、『RigidChips』というソフトは、そのパネキットの世界をWindows上に再現する事ができます。
再現といっても、機能的にはモデルの設計と操作という部分のみで、本家『パネキット』にあった各種競技は存在しません。モデルの設計は専用のUIがあるわけではなくテキストファイルとして設計しますし、パーツ構成や物理法則も必ずしも『パネキット』と同じに作られているわけでは在りません。
しかし、『パネキット』という作品の芯にある魂を受け継いだソフトウェアである事は保証します。
本家『パネキット』よりも優れている点として、モデルのデータファイルには簡単なスクリプトを組み込むことが可能で、ヴァーチャルCCDカメラによるって取得した画像などを利用してある程度の自律動作が可能な事が挙げられます。
また、パーツ同士の結合に強度的な限界を設定し、無茶な外力によってモデルが崩壊してしまうようなレギュレーションも可能で、この設定は、例えば高速車両の設計時にこれまでの「より早く、操作性の優れたモデル」という目標に加え、「加重によって自己崩壊しない」という新たな要素を加えることになり、設計をより深いものにしてくれています。
モデル設計やスクリプトの文法はややとっつきにくいかもしれませんが、生粋のパネラーはもとより、ブロックや積み木で遊ぶのが好きな人にも是非お薦めです